【製造業の海外進出】相談すべき相手、相談してはいけない相手
製造業の海外進出 誰に相談すればよいのか?
馴れない土地で、馴れない相手に、商売を始めることは簡単なことではありません。企業の海外進出は成功事例もあれば、それ以上の失敗事例があります。(オフショア開発等はまだしも、現地の市場開拓となると難易度はかなり高い)
そこで、海外進出で失敗しないためには、現地の情報やツテが必要になります。しかし、情報源や頼る相手を間違えると、むしろ逆効果。ドツボにはまる可能性もあります。そこで今回は、製造業が海外進出する際には、どこに相談すれば良いのか、経験談を踏まえて、お伝えいたします。
尚、私自身、商社勤務時代、海外現地法人で働き、情報収集に奔走し、実際に現地ローカル企業に訪問したり、また、海外進出を試みた中小企業を見てきた中で、色々なケーススタディがあります(現役の商社マンの方がはるかに最新事情に精通してます)。
JETROやJICAはどうか?
よく海外セミナーを開催していたり、相談窓口を設置しているので、とっかかりにはなるかもしれませんが、正直、これらの機関はあまり頼れません。
私も、商社時代に情報収集にあけくれましたが、JETROやJICAからは大した情報は得られませんでした。「あれ?結局、自分たちの方が、市場、顧客、その他情報に全然詳しいじゃん」と実感しています。
JETROやJICAは、基本的に”お役所”であり、政策に基づいた助成金・補助金の支給や、マクロ的な現地制度の情報提供、現地の役所や大使館の紹介等が大まかな役目です(海外ビジネスの”環境づくり”がも主な仕事)。そのため、ビジネスの生情報、ミクロ的な現地の細かい制度・実務に関する情報を得ることがあまりできません。
また、JICAは比較的そうでもありませんが、JETROに関しては、”The お役所対応”が多かったり、時には誤った情報提供をされる方もいるので要注意です。
銀行はどうか?
大手銀行の多くが海外支店や提携先を有していますが、これまた、ビジネスの生情報や、現地の細かい制度・実務、現地企業(客)の紹介は期待できません。彼らは実ビジネスの中に入らず、その裏方・サポート役なので、そういったミクロな情報や生の情報を得られません(大まかな経済動向・産業動向のマクロ的な情報は得られます)。
但し、現地の為替制度や決済手段などを聞くには良いと思います。国によって、決済方法や金融制度が異なり、送金や為替が面倒なこともあります。ここで、知恵を貸してくれたりします(勿論、海外支店や提携先を持つ大手銀行のみです)。
あるいは、国内のお客さんで、海外進出している会社を紹介してくれるかもしれません。最近は顧客の囲い込みのために、マッチングパーティ的なこともしれいますね。そのため、一声かけるのはありだと思います。
日系の弁護士事務所や税理士事務所は?
現地進出の際に、実務的なところ(登記、契約、申告、届け出等)では現地の弁護士や税理士のサポートは必要になってくると思います。言葉の問題から、日系の弁護士事務所や税理士事務所が良いでしょう。また、信頼性の面から大手中堅どころが良いでしょう。彼らは、実務サポートは勿論、色々と「失敗例」や「トラブル事の顛末」を知っています。なので相談して損はありません。
ただ、市場動向の把握やお客さんの紹介、商流の作り方は専門外なので、この部分はあまり頼れません。また、多くの日系企業が進出している国には大手事務所の支店や提携先がありますが、まだ日系企業があまり進出していない先では、日系の弁護士・税理士事務所はあまりないかもしれません。
尚、「日本に進出している外資系弁護士法人」あたりは、日本のクライアント向けに、各地で日本人スタッフを雇っているケースもあるので、使える可能性はあります。
業界の日系商社
進出したい先に、同業界隈の日系商社が支店を持っていれば、そこに聞くのが一番良いと思います。何故かと言いますと、現地の日系メーカーは、日系や現地の商社経由で販売することが多く、そうすると顧客情報、市場動向、現地商習慣に一番詳しいのは商社ということになります(B to B業界では)。
商社は、複数の商流を持ち、それぞれのサプライヤー側、ユーザー側双方から情報を入手できます。また、儲かる市場で勝負する、そして、利率が低い中、大きな与信リスクを背負っての勝負をする、という業態のため情報感度が抜群に高いのも特徴です。そのため、情報の観点からは商社が一番良いと思います。
また、信頼の観点からして、”大手・中堅”が望ましいです。業界の大手・中堅は、日本に本社を有し、知名度が高く、コンプライアンスも厳しいため、”下手なこと(悪いこと)”は滅多にしません。また、大手はお金に余裕があり、社員も”人がいい”方が多いです(優秀な人材を駐在員に置く、という傾向もあります)。
とりあえず、同業周辺で進出している商社にコンタクトを取ってみるのも良いでしょう。
零細、個人には要注意
中小・零細のコンサル会社や事業主は、現地企業に限らず、日本企業や日本人でも要注意です。海外には、情報とツテで”食っている”人間も多いです。現地に長年住み、現地人並みに情報を有している、現地の”お偉いさん”とツテがあり、何かあれば繋いでくれる、と、ここまでは良いのですが、これを利用して、日本企業を”食い物”にする人間もいるのも事実です。コンサル料、立替、出資などでお金を吸い上げに来ます。大手企業のような”いい人”は中々いません。
勿論、中にはまっとうな方もいますが、判断が非常に難しい(少なくとも”事実”による裏付けは必要)。しかも、こういうった人間は、意外に信頼できる人物からの紹介であったりします。紹介した方も騙されている、あるいはグルになっていることもあり、中々見分けるのが難しい。
また、何かあれば動ける(逃げれる)ようにしていたり、現地の法制度が”緩い”ことを知った上で仕掛けてきます。仮に、持ち逃げ、焦げ付きにあった場合の回収可能性はほぼ0という考えで良いと思います。回収できた事例はほぼ見たことがありません。私自身も目の前で色々見てきました。悔しいことばかりです。
ちょっとオススメ 駐日大使館
進出しようとしている国の駐日大使館に電話してみるのも一つです。意外に簡単にアポに応じてくれたり、現地のお偉いさんや官僚を紹介してくれたりします。あるいは、代々木公園等で行われる”海外フェス”的なものに出展している大使館もあるので、そこでアポを取るのも一つです。このやり方はあまりやっている人がいませんが、手軽なツテづくりにもなります。
但し、新興国の一部では、国ぐるみで詐欺のようなことをしているところもあるので、要注意です。