中小企業の離職率を上げる”優秀な”上司?
中小企業の離職率を上げる”優秀な”上司?
優秀な上司が若手の部下を潰してしまい、離職率が高まる事例は多々あります。「あいつは優秀なのに何故??」と思うこともあるかもしれませんが、「優秀だからリーダーに据えよう」と考えるのは要注意です。
優秀な人は教えるのが下手?
優秀な方は何でもすぐにできてしまうので、そうでない人間の、できない理由や心情が中々分かりません。また、自分自身と比較して部下を見るため、部下のレベルが非常に低く感じられてしまいます。
そのため、部下が期待通りにできないと、「何でできないんだ?」「いいからやれよ」「気合入れろ」などの言葉を放ったり、あるいは、「こいつはダメだ」と切り捨ててしまうことがあります。
そして、部下は、こういった上司からのプレッシャーと、「できないこと」による劣等感や自己嫌悪によって、潰れてしまうのです。
勿論、部下本人に責任もあると思いますが、こんなことを繰り返しては、人が育ちませんし、定着しません。
「やれ!」だけでは指導にならない
できない人に、「やれ!」「できるようになれ!」と言っても、中々成長に繋がりません。「何故こんなこともできないんだ、、、」「考えが甘いんじゃないか」と嘆いて叱るばかりでは、中々改善しません。
では、どうすれば良いかというと、厳しい言葉はかけてもいいのですが、ちゃんと「できない背景や原因」を探ることが必要です。
例えば、「期限を守る」というのは社会人として当たり前のことですが、残念ながら期限を守れない社員もいます。そして、優秀な上司は、「期限を守れないお前はダメだ!」「次からは期限を守れ!」と言い放ちます。勿論、これはこれで仕方ないのですが、これで「指導した」「こいつはもうダメだ」と考えるのは要注意です。
「期限を守る」というと至極当たり前のことで、この上司からすれば初歩の初歩です。しかし、この「初歩」でも、この部下の方からすると、実は大きな「一歩」なのです。
例えば、期限に間に合わせるためにも、
・優先順位付けができてないから、すぐにやるべきことを後回しにする
・作業の進め方が非効率で、通常の2~3倍の時間がかかってしまう、
・質が悪いと怒られるから、質を高めようとして期限を過ぎてしまう、等
期限を守るために越えなければならない障害が、その方には沢山あるのです。優秀な人には小さな初歩でも、そうでない人にはその間に細かいステップを踏む必要があるのです。
そのため、上司は「期限を守れないお前はだめだ!」と切って捨てるのではなく、「期限を守れない理由・背景(障害)」を明らかにし、「それをクリアする方法」を教えないといけません。
そのために「時間管理はどうやってるの?」「どんな風に作業してるの?」「7割程度でいいから期限前に提出してみて」等、質問・助言をすることが必要です。こういった障害を一つずつクリアしていかないと、成長を促せませんし、ここをサポートするのが上司、管理職の仕事です。
尚、このようなシーンでは、頭ごなしに教える「ティーチング」ではなく、部下に考えさせ、行動をうながす「コーチング」というコミュニケーションの取り方が効果的です。コーチングは研修を通じて学ぶことができるものです。
育成能力は管理職の必須スキル
「できるようになれ」、こんなことは誰でも言えます。これは人材育成じゃありません。そうではなく、「できない理由・背景」を探し、「できるための道筋」を作ってあげるのが、人材育成であり上司(マネージャー)の仕事になります。
(いつぞやテレビ番組の「ガイアの夜明け」でキリンビール社の上司が部下を根性論で叱咤しているシーンがあり、ネットでたたかれてましたが、あんな感じです。)
因みに、「そんなとこまで面倒みなきゃいけないの?」と思うかもしれませんが、有名大企業は毎年沢山の新入社員が入ったりする一方、中小企業においては、超優秀な人材は採りにくいですし、退職したら代わりは中々出てきません。なので、採った人材を育てていくことは必須になります。そのためには、上司の方には、そのことを理解してもらう、「育成」が仕事の一つである(給料の内)であることを理解してもらう必要があります。
そのため、そんな上司の方には、育成スキルを徐々に身に着けさせるか、あるいは、誰かが上司をサポートするのが良いかと思います。
弊社では、上司の方と面談や相談会(あるいは飲み会)を行いながら、一緒に育成を身に着けていくというサポートをしたりしております。管理職の方は孤立しがちなので、そのサポートに入らせて頂くようなイメージですね。